補完療法のはり治療の目的と効果

注意:緩和ケアに従事した経験がある施術者による施術を受けてください

目的

  • 現在受けている治療を計画的に行うために、副作用・有害事象の軽減を目的とする
  • からだの苦痛、生活の満足度、気分などQOLの改善を目的とする

特徴

  • 部分的に生じている苦痛への対処と同時に、身体全体の調子を整えることができます
  • はり治療の副作用はありません(注意事項を遵守することが重要)
  • 衛生管理の不備による感染症の恐れや気胸など施術者の不注意に関係する事故が報告されています

 効果

  • 筋肉痛には特に効果が高いです→パクリタキセルには筋肉痛や関節痛、しびれが副作用として出やすい特徴があるようです(「婦人科のがんと治療」イカロス出版)
  • 神経細胞、脳下垂体そして脳の一部に働きかけ、血液循環を改善したり体温を上昇させるなどの効果を導きます
  • 特にがん治療における「はり治療の役割」として、化学療法中の免疫力を高める効果があると言われています
  • 嘔吐の抑制にも効果が高いです

注意点

  • 血小板減少症や抗血液凝固剤投与中の患者は注意が必要です 

参考

National Cancer Institute~CAM~acupuncture

Acupuncture is underutilized in hospice and palliative medicine

The value of Acupuncture in cancer care

鍼治療をがん患者に提供するためのガイドライン

細田鍼灸院の見解

「がんの補完代替医療ガイドブック第3版」の10ページ『3,補完代替医療を行うと決めたら、専門家に次のことを相談してみましょう』に沿って当院の考えを記します.

 

Q.この補完代替医療は、どのように効果を発揮するのですか
A1.鍼灸は「局部的・対症的療法」、「全体的・調和的療法」という二つの側面を含みつつ、個別に対処できる方法論です.目指すのは全身のバランス調整であり、結果的に自然治癒力を回復させ症状の改善を図ります.QOLに効果的に働きかけることができると考えています.

A2.がん治療に関連した症状で、改善が期待できる症状は【筋性疼痛、便秘、腹部膨満感、痺れ、むくみ、口腔内乾燥、倦怠感、化学療法後の疲労感、不眠症】と言われています.

 

Q.私のような病状に使って効果があったという科学的な根拠(発表されている論文)はありますか
A1." The Value of Acupuncture in Cancer Care "
   " Oxford Textbook of Palliative Medicine  8.2.9 Acupuncture "

A2.ただし、がん治療に関する領域の鍼灸の臨床研究はまだ新しく、成果を上げるために努力を重ねている段階です.

 

Q.この補完代替医療に関する情報やデータを提供してもらえますか
A.ご希望の情報があればお尋ねください.

Q.この補完代替医療の危険性や副作用は何ですか
A."Oxford Textbook of Palliative Medicine”   8.2.9 Acupuncture p.417 によれば、

  • 不安定な脊柱の周辺の治療は脊髄損傷や切断に至る可能性もあるため避けること
  • 腫瘍や潰瘍化した表面への直接の鍼は避けること
  • リンパ浮腫が見られる四肢への鍼は避けること
  • 血液凝固能が低下している時、鍼はしてはいけない
  • 義肢や義眼など人工器官の周囲に直接鍼をしてはいけない
  • 頭蓋内損傷を起こしている頭蓋や脊髄に対する手術を行った患者への鍼は避けること
  • ペースメーカーを使用している患者に電気鍼は使ってはいけない
  • がん患者は鍼の刺激に敏感なため、介護人がいた方がいい
  • 悪液質の患者には軽い刺激の鍼を行うこと
  • もし鍼の有効性を確認できなくなったら、病気の進行が考えられるためがんの進行具合を調べたほうがよい

A2.経験のある鍼灸師が、適切な手順で治療を行う場合に逆効果はほとんどないです

 

Q.この補完代替医療は、現在受けているがんの治療に影響がありますか。
A.標準治療への影響はありません。通院に伴う身体の負担や施術料の心配など多面的な観点から受療と継続についてご検討ください.

 

Q.この補完代替医療をやってはいけないのは、どのような状態(または病気)の時ですか
A.極端に体力が低下している、疲労感が強い時は休養を優先した方が良いと考えます.鍼灸治療後いつもより疲れやすく感じる・休んでも回復しないなどの時は施術の継続について利益と害の視点からご検討ください.

 

Q.この補完代替医療は、どれくらい長く続ける必要がありますか
A.施術の目的や生活の目標を施術者と共有して継続期間を定めることが大切です.

 

Q.この補完代替医療で、機材や物を買う必要がありますか
A.ありません

 

Q.この補完代替医療の費用はいくらですか
A.料金表をご覧ください